1)収益力があるか

 クリニックを経営する目的は何でしょうか?

 例えば、「社会に貢献しながら、継続的に経営していく事」などが考えられるでしょう。銀行も、この目的を実現しそうなクリニックに、お金を融資したいのです。

 一般の会社であれば、「継続するために、利益を上げていく」ことが大事になります。「営利を目的としないクリニック」であっても、継続するために利益を上げることが必要です。

 利益を上げる → これが「収益力」です。その中でも、大事な「利益」は2つです。


 i 付加価値

 付加価値とは、「医業収入から仕入(委託費も含みます)を引いたもの」です。

   付加価値=医業収入-(仕入+委託費)

 つまり、この付加価値が高ければ高いほど、クリニックの収益力は高いのです。あなたのクリニックの付加価値は高いでしょうか?


 ii 経常利益

 経常利益とは、医業収益から様々な通常かかるコストをすべて引いた利益です。

 このコストには、役員報酬はもちろん、金利も含みます。では、このコストに入らないものはどんなものがあるでしょうか?

 例えば、役員退職金や、土地の売却損や、売却益など、通常、発生しないものはコストに含みません。

 つまり、経常利益は、通常(経常的に)のクリニックの活動として出る利益です。


2)クリニックの財政状態は健全か


総資産=負債+未払金+借入金+純資産(自己資本)

 これは、銀行自身が健全か否か?という判断の指標にもなっている「自己資本比率」という分析値が重要な視点になります。

 この自己資本比率とは、クリニックの総資産に占める純資産(資本金等)の割合のことです。


自己資本比率=純資産/総資産×100


 あなたのクリニックの自己資本比率は何%ですか?

 この比率が40%以上あれば、かなり健全で、銀行はあなたのクリニックと、是非お取引をしたいはずです。

 また、もしも、この比率がマイナスの時、これを債務超過の状態と言います。自己資本(純資産)等がまるでなく、借金だらけの状態になっているはずです。この時、銀行は、なかなか「融資をどうぞ」とはならないと思います。

 このようなクリニックは、融資がないと資金が足らず、倒産の危機に追い込まれます。過度の節税のために無駄な経費を多く使うクリニックは、自己資本比率は低いままで、不況に弱いクリニックになってしまいます。