「終わり良ければ全てよし!」と言いますが、労務についても全くその通りです。

全てのスタッフが円満に辞めるとは限りません。

 ある日、スタッフが突然来なくなり、連絡が取れなくなったとします。スタッフがクリニックに不利益な行為をし、揉めた末に辞めた等、円満な辞め方でない場合は、退職時の取り決めができない場合もあります。


 雇い入れ時に提出を求めることが多い誓約書ですが、誓約書自体は法律で決められているものではありません。内容も自由に決められます。そのため、誓約書の内容も吟味することが重要になります。業務上知り得た秘密事項などについては、秘密保持として雇い入れ時と退職時の二段階方式で誓約書を取ると良いでしょう。

 しかしながら、円満退職といかない場合、退職時に誓約書の提出してもらうことが難しい場合もあります。そのようなケースも考慮し、雇い入れ時の誓約書に、秘密保持の内容を入れ込むことをおすすめします。

 また、連絡が取れないまま欠勤状態になった場合などを想定して、「○日以上無断欠勤をした場合、△日を持って退職の意思表示とします」、などのような取り決めをして、表記をしておくとよいでしょう。

就業規則がある場合は、就業規則にも規定しておきましょう。

初めに取り決めをしておかないと、何日も無断欠勤をした挙句、ある日ひょっこり戻って来て、「私は退職すると言っていない」など無用のトラブルになる可能性があります。内容を工夫することなく、雛形の誓約書を使うことはリスクもあります。

 開業準備として労務に関しての書類も、ご自身のクリニックにあうものを作成してみてください。初めにしっかり考えておくことは、お互いのためにもなります。